登山家になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

登山家になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

登山家として実績を上げている人は多いですが、メディアではあまり報道されず、知る人ぞ知るといった扱いになってしまうことも多いです。しかし、登山の分野で認められれば、スポンサー契約などでプロ登山家として活躍できるようになります。どういった適性が求められるのでしょうか。登山家に向いている人の特徴についてご紹介します。

登山家になるには何が必要?

第一に、強靭な体力と精神力が不可欠

登山家は様々な山を登りますが、プロの登山家を目指すには、相応の実績が必要です。

富士山登頂、日本百名山制覇なども知られていますが、国内にある山は3,000m級のみなので、日本国内に留まっている限り、プロの登山家になるのは難しいでしょう。プロとしてふさわしい実績を積むには、やはり海外の、最低でも5,000mを超える高さの山を登頂する必要があります。

なぜならば、プロ登山家には強靭な体力と精神力、高度な登山技術、的確な判断力、サバイバル技術など様々な分野でハイレベルな実力を求められるからです。人によっては2,500mあたりから高山病はでますが、5,000mを超える高峰を登頂するときには、気温も酸素濃度も富士山とは比べ物にならないほど厳しくなり、類い稀なる苦しい戦いを強いられます。

ただでさえ、山の中の環境は厳しいものです。天候はすぐに変わりますし、どんな高さの山でも滑落、土砂崩れ、落石、崩落など事故の危険があります。世界的な高峰は、国内の山とは比べ物にならないほどの危険性を孕んでいます。一つのミスが、命を落とすことに直結する。これが登山の世界です。

世界的な高峰を制覇するには、綿密な登山計画、歩行訓練や呼吸法をはじめとする体力的な訓練、天候を読み、時には登山を断念する決断力、高いレベルの装備など、豊富な経験に裏打ちされた的確な判断に基づいた様々な準備が必要になります。

こうした極限の環境に耐える登山技術と体力を兼ね備えてこそ、プロの登山家として認められます。

登山家として、自分を売り込む事ができる能力

近くの山であればまだしも、世界的な高峰をはじめとして、そもそも登山するまでの道のりがすでに厳しい場合が数多あります。まず山のある国に行くまでが遠かったり、便利な交通手段が使えず、山を登る前に何時間も歩いたり。そうした厳しさもありますが、登山家にとって何が最も響くかというと、それはお金です。

登山は、ある程度の高さを持った山を登るときは、趣味で登山をするレベルの装備では体力的に耐えられない場合が多々あります。それを補強するために、まず高額なウェアや登山靴、テント、寝袋などが必須となります。まともな生活ができない装備で、山を甘く見て登ってしまうと、即座に死に繋がります。

高さによっては気圧が低すぎてヘリコプターでも辿り着けないため、頂上付近で体調を崩しても、即座に山を降りる事ができないなど、人間の技術の限界を超えるような登山をもしなければなりません。

こうした際に、登山費用というのは増加していきます。また、海外の高峰の場合、入山料も高額で、例えばエベレストならば登頂目的で山に入るだけでも100万円を優に超えます。

プロの登山家全体に言える事ですが、とても個人ではこうした費用を工面するのは難しいです。なので、実績のあるプロ登山家は、企業とスポンサー契約を結んでいます。実績をある程度積めば企業から声がかかることもありますが、そこまでに達していない場合に、スポンサーをつけたい場合には、登山計画書を作成して、一軒一軒企業を回って、自分が山に登ることによってどういったメリットがあるのかをしっかり売り込んで行かないといけません。

登山家は自ら兼業の仕事をすることで登山費用を工面する人が大多数で、スポンサー契約をしなければほぼ登山家としての収入は望めない世界です。しかし、ただでさえ登山は体力的にも精神的にも疲弊しますので、なるべくならば登山に専念できれば理想、と考える登山家が殆どのはずです。

実績がなければスポンサー契約をしてもらえず、かといってスポンサーがいなければ実績を積むのも大変、というのが登山家の実態です。しかし、こうした苦しい状況を打破していくために、登山家は誰しもが日々努力を重ねています。登山家の中でも1歩抜きん出るために、積極的に自分を企業に、世間に売り込む能力は非常に重要になってきます。

登山家に向いている人、適性がある人

どんな時でも自分を見失わない、確固たる信念がある人

登山家は、一般的には立ち位置が低く、苦労のわりにあまり評価されない世界です。それどころか、職業として成立していない側面があります。どんなに戦い、苦しみ、命の危機に晒され、それをなんとか乗り越えて這々の体で前人未到の実績をあげたとしても、それだけでは食うことはできない世界です。

場合によっては全く顧みられず、評価されることもなく、逆に叩かれたりもする可能性もあります。例えば栗城史多さんは、ニート登山家としてブログで日々の登山の様子をアップして発信していたことで有名になった人ですが、登山の様子をインターネット中継したり、実力が伴わないまま挑戦的な登山を繰り返して失敗したり、大勢のテレビクルーを登山に引き連れたり、どこかショービジネス的なアプローチがたたって多くの批判を浴び、結果的には事故で還らぬ人となってしまいました。

栗城さんなどは有名になってスポンサー契約も果たす事ができましたが、大多数の人は、自分で仕事をして、自分で高地トレーニングなど訓練に励み、仕事の傍らさらに苦しい登山に、しかも高額な費用をかけてまで、海外に行ってまで挑戦する。側から見れば、なんの意味もない、不毛な行為です。お金にならなくても、意味がなくても、高い山に登る、それが登山家なのです。

伝わる人にしかその意味が伝わらない、そうした性格は、ある種、芸術家とも通じるところがあります。芸術家も、一銭も稼げないとしても絵などを描き続ける仕事で、そうした性格から、ある程度の一般的な生活を捨てる覚悟を決めています。登山の世界も同じです。

ジョージ・マロリーが言う「そこにエベレストがあるからだ」のように、自らの信念をしっかり持っていれば、「なんの意味もないのにどうしてやるの」という疑問は耳に入らなくなります。そして、どうしても登るんだ、という強い信念を持つことによって、スポンサーを求めるにしてもその信念は大きく人を動かしますし、世間に惑わされることなく自分が好きなことを貫くことによって、登山家は大成していくものです。

真面目で、注意力が強く、幅広い分野を学ぶことに苦がない人

登山家が行う登山では、特に何千メートルの高峰になればなるほど、地上の感覚では信じられないような危機が次々と襲いかかってきます。特に空気中の酸素濃度、気圧に関するそれは生命の危機に直結します。

極端に気温が低くなり、気圧が低くなることによって、人体にどのような影響が出るのか、それをできる限り防ぐにはどういった行動パターンを取る必要があって、どういう登山ルートを取り、どんな登山計画を練るのかなど、考えることは膨大で、かつ迅速な判断をしなければ死んでしまうこともあります。事故の危険を防ぐためには類い稀な注意力も必須となりますし、専門家の警告や登山のルールをしっかり守る真面目さも重要です。

極限の状況における命の危険を防ぐために、登山家には様々な分野の豊富な専門知識が必須となります。気象学、生物学、物理学、力学、化学、行動学、社会学、経済学など、ありとあらゆる分野における教養が、適正な判断を導いてくれます。また山の地理、登山道具や装備の効果なども細かく研究しておく必要がありますし、緊急の際に、例えば火をつけられる道具がなくても自力で火を起こせるなど、知識の応用力も欠かせません。

登山の世界は、体力だけ持って、ただ登っているだけでいいという世界ではありません。何よりも命を大事にしなければなりませんから、命を守るための多様な知識を取り入れ続ける事が肝要です。

登山家になるための学校・教室

山岳部のある大学か、登山技術を学べる専門学校で経験を積もう

登山家になるためには、特段資格などは不要です。しかし先述の通り、登山には命に関わる危険が付き物で、何より大切なのは深い専門知識と、登山経験です。この2つを早くから身につけておく事が、今後の登山人生において大きな意味を持つことになります。

著名な登山家には、大学の山岳部で専門的な登山技術や、様々な山への登山経験を積んで、登山家としての人生を歩み始めたという人が少なくありません。ですので、先達のように山岳部のある大学に進学するのも有効と言えるでしょう。加えて、地理学や気象学を始め、山の特性を学べる自然科学系の学科に所属しておくと、状況判断に役立つ知識が豊富に身につけられる可能性があります。大学卒業の学歴は様々な選択肢を生みますので、副業探しにも大学進学は有効に働くはずです。

また、登山技術に特化した専門学校も、少ないながらも存在します。山岳プロ学科などがある専門学校に通う事ができれば、登山ガイド、山岳ガイドの道をも見据えつつ、現役で活躍しているプロ登山家や、プロガイドから直接指導を受けられるので、豊富な経験に裏打ちされた実践的な指導を受ける事ができるでしょう。

登山家になるには?まとめ

まずは何よりも命を大事に、実績を確実に積み上げましょう

登山家にとって最も大事なのは、もしかしたら「自らの命を守る事」なのかもしれません。登山は誰にも強制される事なく、自分の意思で行うものですから、より一層自分の命を守ることに対して過敏になっておく必要があります。実績がなく評価されないまま命を落としてしまっては、それはただの無駄死にとなってしまいます。

ですので、引くべきはしっかり引く、見切りの良さも重要になります。しかし、何度挑戦してもいいから絶対に成し遂げるんだ、という強い信念もまた必要です。勇気は必要ですが、蛮勇は不要、それが登山の鉄則です。こうしたことも念頭において、しっかりと登山計画を立て、着実に実績を上げていきましょう。

登山家の参考情報

平均年収-
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種自然・動物

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