健康運動指導士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
健康運動指導士は、医療機関やフィットネスクラブをはじめとする様々な施設にて、治療や健康増進などを目的とした運動指導、運動プログラムの作成などを行う仕事です。多様な人々に関わり、社会的役割も大きい仕事です。今回は、健康運動指導士に向いている人の適性や、必要な能力、資格についてご紹介します。
健康運動指導士になるには何が必要?
運動が好きであり、運動や人間の身体機能に関する深い理解が不可欠
健康運動指導士は、多様な人々の多様な健康状態に向き合い、健康の維持増進、身体機能の改善、スポーツパフォーマンスの向上など、多種多様な目的や要望に、運動指導というアプローチで応えていく仕事です。
働く場所も様々にあり、医療機関、保健施設など医療の現場、スポーツジムやフィットネスクラブ、介護福祉施設、地域の健康センターなどで、運動計画の立案、運動プログラムの長期的な実施、またその管理も一手に引き受けます。
人々の健康を維持、増進し、あるいは様々な疾患の予防、身体機能や病状の改善に向けた、適切かつ安全な運動指導を行うためには、高度な医療に関する知識が必要になります。運動生理学や運動力学などスポーツ科学全体に渡る深い専門的知識を網羅する必要があり、人々の身体機能がどこをどう動かせばどのように機関が動くのか、病状を改善するには身体をどのように動かして行けばいいのか、を理解する必要があります。
また、内臓の機能や摂取する栄養、薬の副作用なども運動とも密接に関わるので、内科学、栄養学、薬学、病態生理学、病理学など多様かつ高度な医療知識が必要です。心理的な要素も関わってくることから、健康心理学の知識なども必要になります。
健康運動指導士はその養成課程から、そうした分野の包括的な知識を習得します。知識や経験に応じて、的確に利用者・患者さんにとって最適な運動計画を導き出し、中長期的な計画に則って根気強く、利用者・患者さんに向き合いながら、運動指導を実践していきます。
治療や要望に応じた的確な対応を立案できる洞察力
健康運動指導士は身体的な病気の治療だけでなく、スタイル改善や美容、スポーツパフォーマンスの向上、筋力増強など、より身体機能を高めようとする需要に対しても運動計画を立案していく仕事です。
病気の治療だけでも様々な患者さんがいて、一人一人に合った運動療法を導いていかないといけませんが、病気の治療や身体機能の改善などに加えて、痩せたい、筋肉をつけたい、運動の機能性をアップしたいなど、人間の数だけ要望が存在すると言っても過言ではありません。
そうした多種多様な需要、要望に応えていくために求められるのは、知識や経験に裏打ちされた深い洞察力です。健康運動指導士は養成課程においても非常に幅広いことを勉強しなければなりませんが、就職後も毎日が勉強、研鑽の日々になっていきます。
日々知識を増やし、経験を積みながら、最良の運動計画を作って、実行していくためには、より迅速に計画が思い描けるような鋭い洞察力が必要です。
健康運動指導士に向いている人、適性がある人
コミュニケーション能力が高く、幅広い知識と知的好奇心がある人
健康運動指導士は、先に説明した通り、非常に多岐に渡る対応パターンを把握し、最適なプログラムを組むことが求められる、大変難度の高い仕事です。
需要、要望に応じた適切な運動計画、運動プログラムを作っていくためには、まず利用者・患者さんとのコミュニケーションはもちろん、医師、看護師、作業療法士、理学療法士、管理栄養士など多様な医療従事者との密な連携が必要になります。
包括的な諸分野の幅広い基礎知識は把握した上で、自分の対応しきれない、より深い医療知識、病気の具合や療法に関する知識、栄養に関する知識などに関しては、周囲にいる様々な専門家との連携が必要不可欠です。多様な知識は必要ではありますが、一人で抱え込むような仕事ではなく、専門分野を任せられる人にどんどん任せて、その上で得られた知見をもとに運動計画を練っていく仕事です。
そのため、何よりも重要なのはコミュニケーション能力です。ずば抜けた専門知識よりも、この療法にはこの専門知識を持った人の意見が必要だ、といった状況判断を行えるくらいの基礎知識を、できる限り幅広く持っておくことが肝要です。
明るく元気で、人々に寄り添える思いやりを持った人
健康運動指導士が直接現場で接する利用者や患者さんは、様々な心身の問題やコンプレックス、自分の身体機能に対する不満など、総じてネガティブなものを心に秘めています。そうした人々が、より快適にいきたい、健康になりたい、闊達になりたいなどそれぞれに願いを持って、健康運動指導士の元に現れます。
まずは利用者や患者さんがどういった身体状態で、どういったことを求めているのかを正しく把握した上で、どういった対策が必要なのかを納得のいく形で検討しあえるような、利用者や患者さんにしっかりと寄り添える対応が必要です。そのためには、丁寧な対応ができる、思いやりを持った人が求められます。
また、特に元から健康ではあるけれど、より機能を向上させたい、運動が大好きな人もいます。そういった人たちは、全員がそうではありませんが、明るく、元気な人であることが多いです。健康運動指導士も、それに負けないくらい元気で、明るく、溌剌とした対応が好まれるでしょう。
ネガティブで心が落ち込んだ人を元気にしてあげられるよう、適度に段階を踏んで、徐々に明るくなっていってもらうような、適度な距離感も大切です。
運動療法は中長期的なもの、根気強さを持った人
治療目的のリハビリや運動療法だけでなく、身体機能を向上させたいとか、ダイエットがしたいとか、そうした要望に対しても、基本的に中長期的な対応が求められます。適正な運動計画というのは、一気にいっぺんに行うのではなく、徐々に段階を踏んで行われるべきものです。
無理な工程を短期的に行いたい、といった無理難題を求めてくる人もいるでしょう。そうした時一緒になって無理をさせては、結果的に身体機能が壊れて目的が遠ざかり長い回り道を余儀無くされることもあり得ます。そうした時、グッと堪えて、あくまでも医学的知識にのっとり、中長期的に徐々に行えるような運動指導、運動療法を提案し、実行していく根気強さが求められます。
また、先にも述べた通り、利用者・患者さんは何らかの理由で健康を損なっている、欠乏感を感じている、理想的な状態から遠ざかっている、といったネガティブを多かれ少なかれ抱え込んでいます。中には、苛立ちを感じて、それを健康運動指導士にぶつけてしまう人もいるでしょう。
そうした人に対しても、丁寧に、思いやりを持って、中長期的に寄り添い、優しくコミュニケーションをとっていくことが大切です。長い時間、運動指導者として関わっていく身として、根気強さは非常に大事な要素です。
健康運動指導士になるための学校・教室
厚生労働省が認定する健康運動指導士養成学校への進学が定石
健康運動指導士の資格を得られる学校として、厚生労働省が認定している健康運動指導士養成学校があります。これは、厚生労働省の要請に応じて、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団が調査し、認定しているもので、全国各地の体育科のある4年制大学や、体育大学等を対象にしています。
健康運動指導士の資格の認定試験の受験資格は、養成校に進学し修了あるいは修了見込みの人は、所定の単位を取っていれば無条件で与えられます。養成校に進学しなかった人は、別途健康運動指導士養成講習会という養成講習を受講せねばならず、最低40単位〜最高104単位に及ぶ膨大な講座を受講しなければなりません。
こうした養成校に進学することで、健康運動指導士の資格を取る上で非常に有利になりますので、健康運動指導士を目指すなら、初めから養成校に通うのが賢明と言えます。養成校として認定されている大学は全国各地(主に受験開催地の近く)に、80校以上存在しています。
健康運動指導士になるには?まとめ
人々の健康を支え、増進していく社会的意義の大きい仕事
近年の社会全体にわたる健康志向、高齢化などの情勢の変化に伴って、急激に注目度が上がっているのが、健康運動指導士という仕事です。人々は老若男女問わず、様々な理由で健康の維持、増進を強く求めるようになっています。
そうした状況の中で、幅広い知識と専門性を持った健康運動指導士の需要は、ますます高まっていくことが予想されています。より複雑化する需要に的確に応えられる器量の大きさが、これからの健康運動指導士には求められていくでしょう。
健康運動指導士の参考情報
平均年収 | 200万円〜400万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
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